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【彼女・彼氏】男「ちゃんと本読まないと女に嫌われる…」【告白体験談】

カテゴリー:彼女・彼氏との告白体験談
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女「ねえ、暇だよー」

男「後もう少しだから待って」





女「ひーまー」

男「今エピローグだから」

女「そのくらい後で読めるよ」

男「うんうんそうだね」

女「人の話を聞きなさい」

男「聞いてる、聞いてるよ」

女「はあ、つまんない」

男「終わった」

女「どうだった?」

男「もう少し登場人物に深みを持たせた方がいい」

女「むう、頑張る」




男「頑張れ」

女「と言うか、文芸部なのに」

男「うん」

女「どうして物を書かないのさ」

男「書きたくないから」

女「なんで?」

男「自分の限界を知ってるからね」

女「うわ、おっさんくさい」

男「よく言われる」

女「顔は幼いのにねえ」

男「それも言われる」

男「もう五時半だ」

女「早いねえ」

男「ずっと暇暇言ってたのに」

女「今思えばいい思い出ということで」

男「ふうん」

女「帰るの?」

男「君は?」

女「もう少しぐだぐだしてたいかな」

男「あっそ」

女「帰るの?」

男「もう少しぐだぐだしてよう」

女「あっそー」

女「どうしてもさ」

男「うん」

女「プロットを立てるだけで、満足する時あるよね」

男「あるんだろうね」

女「で、何も考えずに書き進めた方が筆が進むの」

男「へえ」

女「自分もこれからどう物語が進むかを楽しみたいんだろうねえ」

男「そりゃまた難儀だ」

女「……今度は何読んでるの」

男「君の入部当時の作品」

女「うへ、悪趣味」

男「最新作はいつも読ませてくれるじゃないか」

女「それとこれとはちーがうー」

女「また暇だよ」

男「なんか書いたら」

女「お題頂戴よ」

男「青春」

女「よくそんなぽんぽんと私を痛めつけるような単語を吐けるよね」

男「書けるジャンルが多いに越した事は無いと思う」

女「うっさい陰険」

男「はいはい」

女「はーもう……原稿用紙取って」

男「ん」

女「ありがと」

男「……」

女「書き出しはそうだなー」

男「……」

女「こう、主人公の平凡さを表す感じがいいよね」

男「……」

女「で、ボーイミーツガール形式で段々と成長していくと」

男「……読書の邪魔だよ」

女「いっひひ」

男「大体、それは王道の王道じゃないか」

女「いいでしょ短編なんだから」

男「なるべくスマートにたのむよ」

女「読むの前提かよー」

男「それは勿論」

女「終わった」

男「丁度読み終わったところだ」

女「嘘つけ」

男「それにしても流石の速筆だね」

女「話を切り替えるのが好きだねえ」

男「好きだからね」

女「はい」

男「うん、読ませてもらう」

女「暇だー」

男「……主人公の名前が俺と同じなんだけど」

女「気のせい」

男「そっか」

女「フィクションだからね」

男「成程」

女「どんなに悲惨な目に遭ってようと、フィクションはフィクション」

男「そうだね」

女「で、感想は」

男「たまに君は喧嘩を売ってくるよね」

女「たまたまだよ」

男「六時半」

女「うわー真っ暗」

男「帰るの?」

女「まだぐだぐだしたいって言ったら?」

男「俺は帰るよ」

女「ケチ」

男「ほら、行くよ」

女「甲斐性無し!」

男「変な責任を押し付けないでくれよ」

女「ばーかばーか」

男「はいはい」

――帰り道

女「さてこの長い帰り道」

男「いつもの事じゃないか」

女「どう暇を潰して帰路を辿ろうか」

男「うん、どうぞ」

女「つまんないなあ、もっと乗ってきてよ」

男「君が話を始めたらね」

女「はあー……じゃ、私の好きな作家の話を」

男「うん」

女「昨日読んだのはねえ――」

女「……あっと言う間に分かれ道だよ」

男「そうだね」

女「相変わらず君といると時間が早く過ぎるよ」

男「そりゃどうも」

女「照れてる?」

男「かもしれないね」

女「暗くてよく見えないよ」

男「そりゃ良かった」

女「じゃ、また明日」

男「また」

男「ただいま」

妹「おかえり」

男「母さんは仕事?」

妹「ん」

男「そうか……」

妹「今日も部活?」

男「そんな感じ」

妹「そっかー」

男「もう飯は食ったの?」

妹「これから」

男「じゃあ食べようか」

妹「はいほー」

妹「それにしても」

男「うん」

妹「もう半年近く通ってるんだよね、部活」

男「そりゃね」

妹「中学の頃は剣道入ってすぐ辞めちゃったのに」

男「ほっといてくれ」

妹「お兄ちゃん別に読んだり書いたりする人間じゃないでしょ?」

男「……」

妹「凄いねえ」

男「……」

妹「恋の力って」

男「……俺は嫌味な妹をもてて幸せだよ」

妹「にっひっひ」

妹「中学ではその容姿に惹かれ迫ってくる女子たちを頑なに振り続け」

妹「一度たりとも懐に寄せる事をしなかったお兄ちゃん」

妹「婚約者がいるんじゃないかと噂されたそんなお兄ちゃんが」

妹「高校に入ってなんと一目惚れ!」

妹「その日のうちに、入部届けを出したんだってね」

妹「雷神もかくやというその行動力の前に、妹ちゃんはただただニヤニヤするばかりでございまする」

男「お前は舞台役者に向いてるかもな」

妹「今度の文化祭でクラス劇やるから。見にきてね」

男「分かった」

妹「是非女先輩と一緒に!」

男「……」

――自室

男「……」

男「メール着てる」

男「……女からか」

女『暇だよー君もどうせ暇だろー』

男「……家に居ても同じなのか」

男「……」

男『時間はあるけど、暇では無いな』

男「……よし」

ギシッ

男「……ふー」

男「今日も何事も無かった」

男「明日も明後日も」

男「平凡だ」

男「……君は知らないよな」

男「俺が平凡な人間だって事」

男「君以外の小説は読まないし、一度も書いたことは無い」

男「ただ、君に、知ったような口を聞いて、驚かせているだけ……」

男「……知ったら、幻滅するのかな」

男「……されるんだろうなあ」

男「……」

――

女『……あれ? もしかして……』

男『……うん。入部希望』

女『おー。良かった良かった』

男『えっ!? な……何が?』

女『いや、なんか今年もう部員ゼロみたいでさー。新入部員だけ、なんだよね』

男『そ……それって』

女『私と貴方だけだね。今のところは』

男『……そうなのか』

女『ま、長い付き合いになるだろうしね。自己紹介でも、しよっか』

男『……二人、って……』

女『……おーい?』

男『え!? あ、ああ、大丈夫……』

女『そんな緊張しなくてもいいよ? 部員なんだから、さ!』

男『わ……分かった』

――

男「……あー……やべ……変な夢見た」ユラリ

男「半年……もっと前か……」

男「……まだ他人行儀だったんだな」

男「今は……」

男「……」

女『ほうほう、つまりは暇って事だね。じゃあ私の話を聞いてくれるって事だね?』

女『返事が無いけど始めるよー。今日は私の大好きな作家さん、伊藤計劃のお話!』

女『この人は稀代の天才と呼ばれた人でねー。もうとにかく凄いんだよ。才能溢れまくり。

  天才は早死にするって本当なんだね。惜しい人を亡くしたよ、全く』

女『ねー、全然返信返ってこないんだけど、見てるのかな? まあ、全部私の暇つぶしなんだけどさ』

男「……やれやれ」

――翌日

男「やあ」

女「はろ」

男「何してるの」

女「執筆作業」

男「お題に恋愛追加」

女「うぐぐぐ、それは無理」

男「頑張れ」

女「君が書けばいいだろーぅ」

男「だから書きたくないんだって」

女「むー」

女「段々と」

男「ん」

女「寒くなってきたね」

男「まあ、そうだね」

女「一度でいいからさ」

男「うん」

女「コタツに入ってぬくぬくしながら本読みたい」

男「入ればいいじゃないか」

女「うちコタツ無いんだよぉー」

男「あ、そう……」

女「確か、君んちにはあるんだよね?」

男「……あるにはあるけど」

女「……にっこり」

男「え」

女「言いたい事は分かると思う」

男「駄目じゃない……けど」

女「まあ、考えてみれば一度も男くんの家行った事無かったからさー」

男「それが普通だと思うよ……」

女「そうかな?」

女「――それじゃ、今週末行くから、よろしくね」

男「分かった」

女「あと書き終わったから、読んで」

男「ああうん」

女「ふっふー」

男(……今週末、か)

男(妹には悪いけど……外出してもらわないと)

男(……なんだろう)

男(……手は出せない、だろうな……)





――帰り道

女「暗いねー」

男「寒い寒い」

女「もうこのまま君んち行っていい?」

男「それは……駄目だよ」

女「なにゆえ」

男「本持って無いじゃないか」

女「君んちの奴読めばいーじゃん」

男「……妹いるし」

女「居たら何か不都合でも?」

男「あるような無いような」

女「ふうん、変なの」

女「じゃあ、家の前まで」

男「どうして」

女「だって君んちの場所分からないし」

男「ああ……そっか」

女「当日案内させる訳にもいかないしね」

男「でも、もう暗いぞ」

女「君が家まで送ってくれればいい話」

男「あっそう」

女「いっひひ!」

男(……わざとやってるんだろうか?)

男「ここがうち」

女「へえ、おっきいねえ」

男「その分分かりやすいと思うよ」

女「そうだね」

男「じゃあ、行こうか」

女「ん、分かった」

ガチャ

妹「あれ?」

男「……あー」

妹「あれ? おにいちゃ……って、女先輩!」

女「ん……ああ、妹さん?」

妹「はい! 文化祭の時にお会いしました!」

女「うん。覚えてるよ」

妹「光栄ですっ! ささ、どうぞ上がっていってください!」

女「え? いいの? じゃあ上がらせてもらおうかー……な?」

男「……どうして俺を見る」

女「いっひひ。お邪魔しまーす」

男「……まあ、いいかな」

妹「やー、お兄ちゃんも中々やるね」

男「そう言うのじゃなくて……お前、何で出てきたんだ?」

妹「話し声が聞こえたから」

男「犬かお前は」

妹「にっひっひ」

女「コタツは何処にあるのかな?」

男「居間」

女「そっかー」

男「……いやはや」

女「わー。本当にコタツだー」

妹「あはは、どうしたんです女先輩?」

女「いやねー。本当は今週末ね、コタツに潜る為にここに来る予定だったんだ」

妹「そうだったんですか。……そう言う事ね」

男「そう言う事だ」

妹「ふうん……まあ、どうぞ! くつろいでいってくださいね!」

女「ごめんね妹さん。急にお邪魔しちゃって」

妹「いえいえ、お気になさらず。この際ですし、夕ご飯もご一緒しませんか?」

女「本当? だったら甘えちゃおうかー……な?」

男「……いいんじゃない、別に」

女「やった!」

――

女「いただきまーす」

男「いただきます」

妹「召し上がれー」

女「もぐ……うん、うん……凄く、美味しい」

妹「えへへ、ありがとうございます」

男「うちの妹は料理に関して言えば、そんじょそこいらのお嫁さんより上手いからね」

妹「おー。お兄ちゃんが褒めてくれるなんて珍しい」

男「たまには身内自慢も必要かと」

女「仲良いんだねえ、羨ましいよ」

妹「女さんは、兄妹とかは……?」

女「いないのよ。ずっと本が友達」

男「陰険」

女「ふん、君もだね!」

女「はあー美味しかった。ご馳走様!」

男「ごちそうさま」

妹「お粗末様ー」

女「食器、洗うべきだよね?」

妹「えっ、いいですよそんな! お兄ちゃんにやらせますんで!」

男「うん、食器洗いは俺の仕事だ」

女「あ、そう? じゃあよろしくね」

男「切り替え早いね」

女「慣れてるからね!」

妹「じゃ、私は上にいるから、後よろしくね」

男「え、ああ、うん」

女「妹さんもコタツはいらない?」

妹「あー、いえ。私、学校の課題残ってますんで……」

女「偉いなあ。ね、お兄ちゃん?」

男「早くコタツ入ってなよ……」

女「はいはーい」スタスタ

妹「ふふ……中々かなか、仲いいじゃない」

男「おかげさまでね」

妹「ん。じゃ、仲良くねー」

男「はいはい」

ジャー

男(……早く食器を片付けたい)

男(……でも綺麗にしたい)

男(……ジレンマか)

男(相変わらず、語彙の無さに泣かされる)

男(……別に急ぐ必要も無い、けど)

男(……やっぱり、早くしよう)

――

男「どうですか、コタツの温度は」スタスタ

女「おつかれー良い感じだよー」

男「そりゃ良かった」

女「やっぱ来てよかった、うん」

男「そう」

女「これで本があれば最高なんだけど……」

男「……」

男「はい」ヒョイ

女「お、流石」

男「父さんの読みかけだけど」

女「ばっちこい」

男「と言うか、君」

女「んー?」

男「家の人心配してるんじゃないの」

女「ああ、もうメールしてある」

男「なんて?」

女「知り合いのうちに泊まります、てね」

男「……へえ?」

女「お、君に呆れた目で見られるのは何度目だろうね」

男「十回は越えるだろうね」

女「お互い様だけどね」

男「まあね」

男「と言うか。泊まるって」

女「まあ、成り行き?」

男「物書きとしてそれは情けないと思わないのかね」

女「物語を書いててプロットどおりにキャラクターが動かないなんてザラだよ」

男「それっていいの」

女「キャラクターの一人歩きって奴だね」

男「字の感じからして振り回されてる感が」

女「まあ、否定はしない」

女「……ん、……」コク

男「……」

女「……」コクン

男「……」

女「……すぅ」

男「……おーい」

女「ん……だいじょぶ」

男「何処が……?」

女「妹さんは結構簡単に認めてくれそうだし」

男「あいつは……うん」

女「後は君なんだよ」

男「泊りか」

女「そう」

男「構わないけど、どこで寝るつもり?」

女「うーん。要相談、だねえ」

男「君ね……」

女「いっそここでもいいよ」

男「風邪ひくよ」

女「ん。そっか……」

男「……」

男「……起きろ、陰鬱少女」ユサユサ

女「ん……寝てた?」

男「舟こいでた」

女「う、うぐ……ごめんね、やっぱり時代物はまだ早かったみたい」

男「気をつけてくれよ」

女「はい。……ところで私の事なんて呼んだ?」

男「文学少女」

女「……ならいいけど」

男「うん」

男「目覚ましに蜜柑でも食べようか」

女「目覚ましになるかな」

男「まあまあ」ヒョイ

女「ひょい。ありがと」

男「ん」

女「……あー。これは言い訳じゃないけど」

男「うん?」ムキムキ

女「私、不器用なんだよね」

男「……へえ」

女「だから、どうしても蜜柑はサル剥きになっちゃうんだよね」

男「それ、言い訳?」

女「くらえ蜜柑汁」プシャッ

男「うわっ!」

男「あいてて……頼んでくれれば剥いてあげたのに」

女「変な所で優しいんだねえ、陰険君はー」

男「まあ、これでもホストだからね」

女「よく言うよ」

男「全くだ」

女「……」

男「……」

女「美味しいね」

男「うん」

女「なんていうかな」

男「ん」

女「本当は本読む為に来るつもりだったんだけどね」

男「そうですね」

女「計画通りいかないもんだね」

男「そんなもんだよ」

女「……でも、まあ」

男「……」

女「こうして、君とコタツで温まりながら蜜柑を食べて」

女「変な話で笑いあうって言うのも……」

女「私、好きかもしれないな」

男「……」

女「……君は?」

男「え?」

女「君は……こういうの……好き?」

男「……どうした、突然?」

女「えっ!? や、えっと……なんとなく、知りたかったから……」

男「……そりゃ、好きだよ」

女「……」

女「そ……そっか」

男「うん……」

女「……」

男「……」

女「……あ、あの――」

妹「ふいー、終わった終わったー」スタスタスタ

男・女「」ビクッ!!

妹「んん! ……お二人さん、仲睦まじく団欒中ですか」

男「あ、ああ……お疲れ」

妹「隅に置けないなーお兄ちゃん!」ニヤニヤ

男「な、何言ってんだ……」

女「え、えっと妹さん、相談があるんだけど……」

妹「はい、なんでしょう?」

女「今日、私ね――」

妹「お安い御用です!」ドンッ

女「そっか。ありがとう」

妹「いえいえ、女先輩の為なら! 地の果て! 空の果て!」

男「……やたら好かれてるね」

女「あ、はは……」

妹「そりゃお兄ちゃんの彼女なんですからそりゃもう――」

男「うぇ、ちょ、ちょっと待て妹」

妹「うん? なあに」

男「別に彼氏彼女の関係じゃないから」

妹「えー?」

女「そ、そうだよ妹さん。男くんの言うとおり……」

男(……男くんとか呼ばれるの、何ヶ月ぶりだろう)

妹「……あんまり納得行きませんが、女先輩の言う事なら信じましょう」

女「ありがと……」

男「……そろそろ、お風呂の時間だね」

女「本当だ」

妹「では、誰から入ります?」

男「流石に男の俺が一番先は駄目だろう」

妹「でも最後だと私たちの出汁が……」

男「……お前、テンション高いな」

妹「にっひっひ」

妹「じゃ、行ってくるね」

女「覗きにきちゃ駄目だよー」

男「分かってるよ」

スタスタ

男「……ふう」

男「結局二人で行ってしまった」

男「ここからじゃ流石に……声は、聞こえないよな」

男「……聞こえても困るけど」

男「はー……」ドデ

男「……好き、か」

男「あれは……俺限定、だったのかな……?」

男「……だったら、そりゃ、嬉しい」

男「……嬉しい」

男「……でも」

男「俺は嘘つきだ」

男「……幻滅されて、愛想つかされたら……それで」

男「……往々にして上手くいかない、もんな」

男「一人歩き、かあ……」





――

妹・女「ただいまー」

男「……おかえり」

妹「ふー。いい湯だった」

女「楽しい湯だったね」

妹「ですねっ!」

男「ん。じゃあ、入ってくる」

女「いってらっさー」

妹「蜜柑残しておこうか?」

男「頼む」

妹「はいほー」

――脱衣場

男「……」ヌギ

男「着た物かごは……あった」

男「……う」

男「この脱ぎ方は……二人とも警戒心無さすぎじゃないか……?」

男「妹のは白……か……ふむ」

男「女、のは……み、水た」

男「……」

男「ぬおおおおおお」ガラララ

――風呂場

男「……久しぶりに自分が童貞であることを認識させられる光景だった」

男「……精進しよう」

男「……」ブクブク

男「そういや、昔……似たような事、あったなあ」

男「あれは妹だったけど」

男「まさか着替え中に鉢合わせるなんて現実であるとは思わなかった」

男「……女の方は、どうかな」

男「……部室行ったら寝てた事あったな……」

男「油性ペンで悪戯したっけ……」

男「……はあ」

男「思い返してみれば……今も昔も、思い通りに行かない事だらけだ」

男「そういう風に出来てるのかな」

男「それにしたって……ちょっと理不尽だ」

男「……たまには、計画通り進んで欲しい」

男「……だから」

男「俺が本を読んで小説を書いて」

男「女に負けないくらい文学に詳しくなって」

男「女をびっくりさせなおす事くらいなら」

男「……計画通り、進んでもいいはずだ」

男「……そうしないと、困るんだ」

男「今からでも遅くない、よな……?」

男「そうだよな……うん。頑張ろう」

男「まずは女に、お勧めの本でも教えてもらったりして……」

男「そうして……ずっと詳しくなったら……」

男「その時は……」

男「……」カー

男「……うあ、暑くなってきた」

男「早く出よう……」ザバァ

――

男「ただいま」

妹「おかえりー」ムシャムシャ

男「あれ……女は?」

妹「本人いない時は居ない呼び捨てなんだ?」ニヤニヤ

男「うるさい。……で、何処だ?」

妹「んー。もう寝ちゃったよ」

男「ん。そうか」

妹「残念?」

男「まあね」

妹「ほー」

妹「うちに人が泊まりに来るなんて、いつぶりだろうねえ」

男「初めてじゃないか?」ムキムキ

妹「かもね。しかも……おにいちゃんの彼女!」

男「だから彼女じゃないって」

妹「……好きなくせに」

男「……それとこれとは違う」

妹「さっき、女先輩の話、聞いたよ」

男「……」

妹「先輩もね」

妹「お兄ちゃんのこと、好きだってさ」

男「……冗談は、やめろよ」

妹「私ね、自慢じゃないけど今まで嘘だけは吐いたこと無いんだよ」

男「……知ってる」

妹「だから今のも、お兄ちゃんをからかう為の言葉じゃないし、慰めでもない」

妹「そういう事実だから」

男「……」

妹「お兄ちゃん。別に急かすつもりは無いけどさ」

妹「両思いのまま、告白しないまま、この関係を維持したい訳?」

男「……それ、は」

妹「好きなんだよね。付き合いたいんだよね」

妹「じゃあ、素直になろうよ」

男「……それは、出来ない」

妹「……どうして?」

男「俺はまだ……女と付き合う資格は無いよ」

妹「……資格って」

男「今、あいつに包み隠さず自分の事を話してしまったら」

男「きっと、幻滅される」

男「なんで今まで嘘ついてきたんだって」

男「文学の事、何も知らないじゃないかって」

妹「……」

男「だから俺は……いっぱい本を読んだり、書いたりするって決めたんだ」

男「追いつくって訳じゃないけど……それでも、あいつと出来る限り近い位置で話が出来る程度には」

妹「……ふふ。そっか」

男「……変、だったか?」

妹「んーん。お兄ちゃんらしいよ……本当にね……」

男「……要領が悪いとは、思うよ」

妹「まあね。……でもお兄ちゃん、一つだけ、勘違いしてるよ……?」

男「え?」

妹「……さ! 明日も早いし! もう寝よ?」

男「え、おい――」

妹「私、トイレ行ってくるから。おやすみ、お兄ちゃん」スタスタ

男「あ……ああ」

――階段

男「……よく分からんな……」

男「勘違い、か……まあ俺だしなあ……」

男「……」

男「……ああ、そうだよ。好きだよ」

男「でも……それでも」

男「俺は、一から学ばないと」

男「……はー。今日はさっさと寝よう――」

ガチャ

女「……あ」

男「――……え」

女「……やっほ」

男「な……なんで、君」

女「んー。寝る場所といったら、ここくらいしか思いつかなくて」

男「い、妹の部屋でよかったじゃないか……」

女「そうなんだけど……さ」

男「……」

女「……すっきり、してるんだね」

女「本も……何も、無い、けど」

男「……っ」

女「本当は……小説も、書いたこと無いんでしょ?」

バンッ!!

女「わっ!?」

男「すまなかった」

女「え、え……」

男「ずっと嘘ついてたんだ。君に凄いって言ってもらいたくて、ずっと詳しい振りをしてきたんだ」

女「男、くん……」

男「本当は何も知らなかったんだ。ちゃんと小説を読んだ事も、小説を書いたことなんて一度も無かった!」

女「……」

男「だから、これじゃまずいと思って――これから、色々本とか読もうとしてたんだ。

  君と話を出来るようになりたかったんだ」

男「なのに……さ。すぐばれちゃったよ。

  やっぱりこんな、プロットにも無かった後付けの計画は……上手くいかないんだ」

男「……幻滅するよな。ごめん。俺はもう、何も言えない……」

女「……」

女「……ねえ、男くん」

男「……」

女「君の言い分は分かった。納得した。とっても、驚いたよ」

女「……でもね」

女「君は一つ、勘違い、してるよ」

男「……?」

女「私がさ――」

女「そんな事を知ったくらいで、君の事を嫌いになる訳無いでしょ?」

男「……え」

女「……大丈夫だよ、男くん」ギュウ

男「え……え?」

女「たとえ何も知らなくてもさ」

男「……」

女「君は、私の作品を読んでくれる唯一の読者なんだよ」

男「……っ」

女「感想がどんなに的外れだったとしても」

女「私は君がいる事が、一番嬉しい事だから」

男「……なんていうか、さ」

女「……うん」

男「……ごめん」

女「……」

男「でも……」

男「……ありがとう」

女「……うん。いいから」

男「……この計画は簡単に崩れちゃったけど」

女「ん……?」

男「でも、いい機会だ。本を読んだり……してみようかと思う」

女「うん。……ふふ、私のお勧めをいっぱい教えてあげようじゃないか」

男「ああ、頼んだよ。……後、さ」

女「うん?」

男「えーと。……その、ね」

女「……なにさ」

男「今なら……多分、失敗しないんじゃないかって、計画があるんだ。

  ……言っていいかな?」

女「え……うん……なんだろ」

男「……じゃあ、言うよ――」

男「――俺は、君の事が好きだ」



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2013年5月30日 | 告白体験談カテゴリー:彼女・彼氏との告白体験談

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