相互リンク先の更新情報!

【友達】PC探偵・神崎梨緒【告白体験談】

カテゴリー:友達との告白体験談
tag:


     PC・神埼梨緒  「…大丈夫です。データの復旧は直ぐ終わります」

 PCのディスプレイを見ていた女の子に言われた正面の女教師は、安堵して天井を

 見上げた。

 彼女の名は神埼梨緒-かんざき りお-  ここ東雲女学院ではちょっとした有名人

 である。東雲女学院はスポーツに力を入れている事で全国規模で志望者が多い。

 しかし梨緒はスポーツに直接の関わりはないが、練習プログラムの組み立て方は

 専門家が感心する程の能力がある。

 しかもそれだけではなく、梨緒は幼少の頃より趣味でPCを使っていた為精通して

 おり、以前学院のメインPCがハッキングされた事件があったのだが、それを解決

 した実績があった。この能力は半端なものではなく、学院の外からも依頼されたり

 している。 なので他のクラスや学年、時には教員からも相談を持ち掛けられたり

 する事も少なくなかった。

{もうそんな時間なのね}

 時計を見た梨緒は愛用のPCを専用の鞄にしまい席を立った。

 「また女子寮で家出ですって」




 最近東雲女学院で、女子寮の生徒が忽然と消える出来事がたまに起きていた。

 最初は犯罪絡みではと噂されたが、後に学院側が発表した結果報告は、《スト

 レスによる家出》とあった。女学院は他の学校組織同様、官憲の手が安易に

 及ぶことはない。あくまでも学院側の発表を鵜呑みにする他なく、学院の外では

 根拠のない憶測が僅かに流れるだけで終わった。

「これで3人、みんな不安なのかなあ」

「いなくなったのは下級生も込みでしょう? 理由は判りっこないわよ」

 誰もが勝手に噂している中、梨緒だけは関心もなく食事を摂っていた。

「神崎さん」

 そんな梨緒の元へ現れたのは、美人保険医として評判の御園円だった。

 円は梨緒をキッと睨むと言葉を続けた。

「余計な事に興味本位で首を突っ込んでは駄目よ」

「判ってます。頼まれもしないのに探る気もありません」

「それなら良いけど…家出する根気のない者は切り捨てるのが当女学院の

 方針です。追って欲しくないから痕跡をワザとあってないようにしていると

 あたし達教員達は考えてます」

「だからお財布は消えても着の身着のままでと仰るんですか?」

「ええそう、だから興味を持っては駄目よ。良いわね」

 円はそう言い残して立ち去った。残された梨緒は半ば唖然として円を見送った。

{あれが教職員の態度? 生徒が消えたって言うのに…まあココのカリキュラムは

 他校と比べると厳しいみたいだし、それで重圧に負けちゃったのかも}

 梨緒は冷めたモノの見方しかしない。というより出来ない不器用な所がある。無論

 梨緒もそれで良いとは思っていないが、どうしても達観した見方が多く、周囲からは

 歳の割に冷めていると見られていた。

 とはいえ他人から『するな』と言われると余計にやりたくなる面もあり、円の懸念通り

 色々と首を突っ込む事も何度かあった。

{家出か行方不明か…まずは探らせてもらおっと}

 そう決意した梨緒は、好物のカレーを平らげた。

 深夜近く、梨緒は自宅のマンションで書類を抱えていた。

「さて…と…」

 梨緒は少し嬉々として山のような資料に目を通した。こうして謎になっている事を

 調べるのは梨緒の尤も好きな瞬間だった。

「…うん」

 資料を置いた梨緒は専用鞄から愛用のPCを取り出してテーブルで起動した。

「…」

 目で追いきれない速度でキーボードを叩き、梨緒は集中したままモニターを

 凝視した。

「…これは…!」

 ディスプレイを見ていた梨緒は思わず身を乗り出した。

{女の子達が行方不明になったと同じ頃、停泊中の船の積荷に3人のイニシャルと

 同じ彫像がある! …偶然!?}

 更にキーボ-ドを叩く。

{船の名は…《皇帝》…}

 梨緒は手を止めて天井を見上げた。

「偶然とは思えない…わ」

 そこまで考え、梨緒はこれが単なる家出ではなく犯罪の疑いが濃厚な事に

 身震いした。

{積荷の依頼主は…山野洋子?}

 何処かで聞いた名前に、梨緒はキーボードにヤマノヨウコと打ち込んだ。

「教員と同じ名前!?」

 梨緒はキーボードを叩き、学院の資料を表示させた。

{…犯人だったら自分の名前を堂々と使うとも思えないわね}

 利緒は一旦冷静になって考え込んだ。

{…これは警察の…ううん動かないわね。ハッキングは犯罪だし違法な手段の

 結果で得た証拠じゃ動かない組織だものね…}

「…」

 色々考えた結果、梨緒は警察のPCにデータを送りつけ、あわよくば動いて

 もらおうと考えた。

{他力本願だけど、小娘のあたしより話が通り易いかも…}

 不確実だがとりあえずやる事はやろうと梨緒は謝罪文も込みで送りつけた。

{…送信っと…ふう}

 利緒はとりあえず警察に託して眠る事にした。

  翌朝、登校しようとした梨緒の前に1人の女性が現れた。

「失礼、神埼梨緒さんどすな?」

 耳障りの良い上品な京都弁で聞かれた梨緒は、無言で思わず頷いた。 

「始めまして、県警の御蔵桃華どす」

 薄く品の良い桃色のジャケットに身を包み、肌の白い美人と出会った梨緒は、

 見とれる程桃華を凝視した。

{うわあ…京美人っていうのかしら…}

「昨夜県警になんやデータを送らはってますなあ」

「え? ええ…ごめんなさい。不確実なんですけど…」

「そうどすか…」

「…え~とご存知とは思いますけど…犯罪ですよね?」

「まあその辺はどうとでも…ああ担当の刑事はんには伝えておきましたけど…正直

 事件性はないと判断されるみたいやわ」

「そうですか…」

 梨緒も正直あまり期待はしてなかった。違法で得た情報を信じる組織でない事は

 判っていたからだ。

「せやけどウチは信じますえ」

「え?」

「こんなかいらしい{可愛らしい}娘の真剣な眼を見たら疑う気は起きまへん」

「…」

 梨緒は頬を赤くして絶句した。PCやハッキングといった違法行為を真っ当に

 見る人が居る筈もなく、今まで気味悪がられる事も少なくなかった。他の人と

 同じ様に分け隔て無く接してくれるのは始めてだったからだ。

「まあともあれもう少し具体的な表現がないと…」

「判りました。必ず」

 梨緒は力強くそう答えると、愛用PCを機動させ、ディスプレイを桃華に見せた。

  その夜、梨緒は1人部屋でPCを捜査し続けていた。行方不明になった3人の

 資料を前に、梨緒は全神経を総動員して集中した。

{…やっぱり気になるわ}

 利緒はじっとしてられず椅子から立ち上がった。

{3人のイニシャルの船・荷主と同じ名の教師!}

 梨緒はもう一度教職員のデータを探った。

{…あれ? 夜なのに駐車場に車?}

 梨緒はハッキングした学院の駐車場の監視カメラを見直した。確かに2台の

 職員用の車が停車したままだ。

{22時…怪しいけどどうしよう…桃華さんは港の管理PCを調べに行って

 くれてるし…う~ん…}

 梨緒は湧き上がる使命感と好奇心が抑えきれなくなっていた。学院に行けば

 深夜とはいえ何か掴めるのでは思うと、じっとしてなどいられなかった。

「…うん!」

 梨緒は桃華の携帯電話に留守電サービスを頼むと、防寒コートにマフラーを

 巻き、深夜の街を抜けて女学院に向かった。

 {うう、寒いよ~}

 寒さに凍えつつ梨緒は身体を丸めたまま学院の裏門までやってきた。裏門には

 教員達は気付いていない隙間があり、遅刻した生徒達がその隙間を使って

 入るのだと、以前噂で聞いていた理緒はその隙間をLEDライトで見つけた。

{そ~と…}

 コートをズリズリと擦りながら敷地内へ入った梨緒は、前もって調べて置いた

 監視カメラの位置に気をつけながら校舎へ向かった。

{駐車してるのは…}

 梨緒はPCを立ち上げ、ナンバーから持ち主を割り出した。

{山野洋子! やっぱり先生なの!? だけどもう1台は…}

 梨緒が残った別の車を調べようとしたその瞬間…。

 

-ゴズッ-

 

後頭部に痛みと共に衝撃を感じ、梨緒は冷たい地面にドサッと倒れた。

 「…」

 頭がズキズキ痛む。ジーッと耳鳴りがする中、梨緒はゆっくりと意識を取り戻した。

{…う…こ…こは…}

 ぼんやりとする梨緒の視界に入ったのは、火の点いたストーブだった。柔らかい

 カーペットの上に寝かされている。だが次の瞬間、梨緒は自分の身体が

 動かせない状態にさせられている事に気付いた。

{う、嘘!? あたし縛り上げられてる!?}

 両手を背中に回され、身体も腕が痛い程硬く縄が巻かれているのだ。何か

 言おうとしたが、唇に何かが貼り付き、更に鼻まで布で覆われている。

「ムッ ウググッ」

「ようやくお目覚め?」

「!?」

 梨緒の死角から聞いた声がした。

「いけないわねえ、未成年がこんな時間にフラフラと…」

{間違いないわ! 山野先生!}

「何をしに深夜の学園に忍び込んだのかは…まあ聞かないわ。だって聞いても

 今のあなたは喋れないんだものね」

 クスクス笑う山野洋子は、鼻まで覆った布をずらした。

「ムグ!? ウウウウ~ッ!」

 洋子はガムテープで塞いだ利緒の口元に、ハンカチらしき布を押し当てた。

 ツンとする甘い刺激臭を嗅がされた梨緒の意識は、呼吸のたびに遠くなり、

 遂に梨緒は深い眠りの底へ沈んでいった。

「…バカな娘ね」

 洋子はずらした布を戻し、再び梨緒の口を鼻まで覆ってギュッと縛った。

  すっかり夜が明けた時刻、梨緒はまだ暗い闇の中にいた。少しだけ闇に

 目が慣れたがまだはっきりしない。見えるのは赤っぽい花柄の布だ。左右を

 見回しても同じと言う事は、どうやら布で覆った四角い空間の中に

 閉じ込められているようだ。

{…ここって…ひょっとして…炬燵の中…なの…?}

 梨緒はうつ伏せにされたまま転がされていた。手首をぐいぐい動かすが、まったく

 ほどけそうになかった。

{どうしよう…桃華さんに知らせたいのに…}

 梨緒は留守番メッセージを桃華が聞いてくれている事を祈った。伝言には学園に

 行く事も深夜に洋子の車が駐車していく事も映像込みで伝えてあるが、もしその

 前に洋子が梨緒の家に行き、PCのデータを全て破棄してしまったらもう証拠は

 ない。忍び込む時に持っていたノートPCは取り上げられている。それ以前に

 後ろ手に縛り上げられている今の梨緒にどうすることも出来ない。

「ウ~ッ! ウウウ~ッ!」

 無駄だと判っていても声を出して助けを呼んでみる。しかし意味のない呻き声に

 しかならないし、その呻き声も分厚い炬燵布団が外に漏らさないだろう。しかし

 それでも梨緒は暴れ、呻き声を上げ続けた。

 -バサッ-

 炬燵布団が捲られ、洋子が顔を見せた。

「おはよう、良く眠れたかしら?」

「ウウウ…」

「悪いけどもう暫くそうしてて頂戴ね。呻いても無駄だしキツク縛ったからほどけや

 しないわ。電源を入れたままで暖め続けといてあげるからいい子でいなさいね」

 洋子はそう言って小さな缶を炬燵の中に置いた。小さなデジタル時計が

 付けられている。

「それは麻酔ガスよ。タイマーで流れるようにしておいたわ」

 洋子は手を突っ込んで縄と猿轡が緩んでいないか確認すると、再び炬燵布団を

 戻してしまった。

-ピッ ピッ ピッ-

 タイマーが逆算して行くのを、利緒は電源を入れられて明るくなった炬燵の中で

 見ているしか出来なかった。

 「…おかしいわ」

 港から戻った桃華は、梨緒が家に居ない事に違和感を感じた。

{変やわ、お部屋の暖かさからして昨夜からみたいやけど…そうやわ!} 

 桃華は携帯電話を開いた。案の定留守番サービスに伝言があった。

「…大変やわ!」

 桃華は冷静でいられなくなり、梨緒の身を案じて駆け出した。

  「…」

 空腹に耐えつつ、炬燵の中に監禁された梨緒はじっとしていた。タイマーが0になり、

 穴から吹き出た白い煙を吸い込んでしまった梨緒は、ついさっき目を覚まして

 落胆した。

{逃れる術がないわ…誰か!誰か助けて! 桃華さん!}

 ウーウーと呻き声を上げてはもがくが、縄は一向にほどける様子もなく、梨緒は

 お尻と背中を赤外線で暖められ続けている有り様だった。

「いい子にしてる?」

 バサッと炬燵布団が捲られ、洋子が小声で梨緒に話し掛けた。

「ウウウウ…」

「ふふふ、うらやましいわ。今日は凄く寒いんだから」

 洋子はそう言って理緒の縄が緩んでいないか確認した。

「放課後になったらドライブよ。ふふふ…」

{何処かに拉致する気なんだわ!}

 洋子の言葉の裏を悟った梨緒は、炬燵の中でモゾモゾと暴れた。

「観念おし。誰も助けに来やしないわよ」

 洋子は炬燵布団を戻すと、誰も見ていない事を確認して授業に戻った。

 {学校の中やったら女の子1人を監禁する場所くらいはいくらでもありそうやわ}

 桃華は学院の外で梨緒の帰りを待っていた。部外者の桃華が勝手に入り込む

 訳にもいかず考えあぐねていた。

「もし」

「え?」

 フイに声を掛けられた桃華が振り向く前に、彼女の乳房に固いモノが押し当てられた。

「なっ!?」

「しーっ、大声を上げると…判るわね」

 薄い紫のスーツを着たOL風の若い女が、桃華の肩を抱きかかえて囁いた。

「来るのよ」

 女は桃華を連れ、学院の近くにある図書館の駐車場に歩かせた。

{この女…やっぱり利緒ちゃんも!}

 桃華は誰かが危機に気づいてくれないかと一縷の望みを掛けた。だが桃華の願いも

 空しく、誰ともすれ違う事すらなく歩かされた。

「乗って」

 ワゴン車の中に連れ込まれた桃華は、カーテンを引かれた薄暗い車内で両手を

 後ろで組まされた。

{縛る気なんやわ…ああ誰か…}

 桃華の願いも空しく、瞬く間に縛り上げられた上、身体にも縄が巻きつけられた。

「口を開けるのよ」

 目の前に突きつけられたのは、丸められたピンクのハンカチだ。

「…」

 躊躇している桃華の脇腹に、チクリと痛みが走る。観念した桃華は小さく口を

 開けた。その瞬間、桃華の口にハンカチが広がった。咽はしないが口で呼吸する

 のが困難になったその口に、ガムテープがベッタリと貼り付けられた。これで

 ハンカチを舌で押し出せない。

「グムム…ムウグッ!」

 ガムテープの匂いを嗅がされていた桃華の顔に、手拭いのような布が巻き

 つけられた。

 鼻まで覆われた布は、桃華の後頭部でがっちりと結ばれた。

「フグッ ムググッ ウンググッ」

 頭を振ってイヤイヤをするが布は外れず、その間に桃華の両足も縛られた。

「大人しくしてるのね、女刑事の桃華さん」

{どっ、どうしてウチの名前を…!?}

 桃華を見下ろす女は、ニヤリと笑うと桃華の身体を覆い隠すように毛布を掛けた。

 「もう1人? どういうこと亜子?」

 洋子の前に居るのは、2時間前に桃華を襲った女だ。亜子と呼ばれた女は洋子の

 前に桃華の名刺を出して見せた。

「県警の女刑事・御蔵桃華…?」

「その女があたし達の事を嗅ぎ回ってるそうよ。こっちに来てみたら学院の側で

 ウロウロしてたからね」

「そう…」

「あなたの方は?」

 洋子はニヤリと笑って後ろの校舎を指差した。

「捕まえてあるわ。今は使っていない宿直室の炬燵の中にね」

「大丈夫? 見つかったり逃げられでもしたらコトよ」

「雁字搦めに縛ったから平気よ。それより今夜例のアジトに連れてくわ」

「OK」

 誰も居ない校舎裏、洋子と亜子は悪巧みを済ませて立ち去った。

  その日の夜に出発し、時刻は既に午前4時近かった。洋子と亜子の運転する

 車は山間の雪道を走り続け、1軒の立派な山荘に到着した。車を停めた亜子は

 鋼鉄製の板状の門を開け、洋子が中へ車を進める。門を戻した亜子が何重にも

 鎖を掛けた玄関のドアを開けた。

 中から操作され、玄関横の車庫のシャッターが開き、車はその中へ滑るように

 すっぽりと入っていった。

 シャッターが閉じられ、車のトランクが開けられると、亜子達は荷物を降ろした。

 2人がトランクの底のシートをベリベリ剥がすと、指を入れる穴が現れた。

「さあ到着よ」

 中には毛布で包まれた梨緒と桃華が閉じ込められていた。身体中を縛られた

 2人はトランクから降ろされ、車庫から山荘内部へ続く扉を通された。「座るのよ」

 梨緒達はソファに座らされると、ソファから立ち上がれないように縄で固く縛り

 付けられた。

「これでよし」

「ウウウッ ウウウグッ」

「ん? なあに?」

 口を突き出して呻き声を上げる桃華に気付き、亜子が猿轡の手拭いとテープを

 剥がす。

「ぷわっ…あんた達が東雲女学院の生徒さん達を誘拐したんどすな?」

「ええそうよ」

 もはや隠しも誤魔化しもせず、洋子はサラリと言ってのけた。

「…目的は身代金どすか?」

「いいえ」

「それじゃあ…」

「まあ刑事さんだから自分の身の安全より民間人の事を心配して当然なんでしょう。

 だけど若い女がそれじゃあねえ」

「…ウチらをどうする気どす?」

「ふふん」

 洋子は暖炉に薪をくべながら窓の外を見た。

「こういう事になるとは正直思ってなかったわ。まあ好奇心旺盛な小娘がしゃしゃり

 出てくるとは予想してたけど、まさかあそこまで調べに動くとはねえ」

 洋子がそう言いつつ梨緒を見る。梨緒はキッと睨み返し、洋子達に屈しないという

 意思表示をしてみせた。

「まあとりあえずあんた達はここで冬を越して貰おうかしらね」

「なっ!?」

「それだけの時間があれば拉致した小娘達を運び出せるもの。亜子」

 洋子の合図で亜子がガムテープの輪を取り出した。

「悪いけどここで計画を邪魔されたくないの。いい子でいなさい」

「やめ…ウウウッ!」

 桃華の言葉がガムテープで遮られ、桃華は再び喋る自由を奪われた。

「ウウッ ムムーッ!」

 桃華に猿轡を再び嵌めた亜子は、梨緒の首筋に注射器の針を差した。

「ウウッ」

「安心おし。只の麻酔薬で毒じゃないわよ」

「お手洗いに行かなくても済む魔法のね」

 洋子達は暖炉に新たな薪をくべ、防寒着を着て車の鍵を手にした。

「いい子でね」

 2人は利緒達をそのままに、再び山荘の外へと車を出した。

 「…」

 聞こえるのは吹雪の音と薪の爆ぜる音のみ…。そんな山荘の中、桃華は

 ゴトゴトとソファを揺らしながら暖炉の近くへ移動した。汗が流れ、鼻で呼吸を

 繰り返しつつ桃華は勢いを付けてソファごと倒れた。

「ングウウッ!」

 痛みと衝撃で苦しみつつ、桃華は後ろ手に暖炉の薪を指を伸ばした。

{桃華さん…}

 梨緒が見守る中、桃華が汗だくになってソファの縄を焼き切る事に成功した。

「ぷわっ 梨緒ちゃん!」

 桃華に自由にされ、梨緒はようやく窮屈な格好から解放された。

「桃華さん…」

「無事やったんやね。ほんま良かったわ」 

 桃華に抱き締められ、梨緒は心底安心することが出来た。

{良い匂い…凄く落ち着く…}

「梨緒ちゃんに何かあったらウチ…」

 桃華の言葉にドキッとした梨緒が顔を上げる。目の前に潤んだ瞳の桃華の顔が

 あり、目が合った理緒はドキドキする鼓動を心地良くさえ思った。

「桃華さ…」

「梨緒ちゃ…ン」

 2人が唇を重ねたのは至極自然だった。まるで申し合わせたかのように唇が

 ピッタリと吸い付くように重なり、そして桃華の舌が利緒の口内に滑り込んだ。

「ン…ムフウ…」

 ピチャピチャと音を立て、2人は唇を決して離さなずに求め合った。

{逃げんとあかへんのに…なのに…駄目やわ…止まらへん}

{何も…何も考えられない…気持ち良い…気持ち良いよう}

 2人は捕われである事を忘れているかのようにお互いを貪った。「あ…」

 暖炉だけが灯りの暗い部屋の中、その暖炉前で桃華と梨緒は服を脱ぎ捨てて

 いた。梨緒に圧し掛かった桃華の手が梨緒の胸の膨らみに乗せられる。

「ん…」

「心配いらしまへん。ウチに委ねて…」

「桃…華…さん…んあ」

「綺麗やわ…火の明かりが肌に映って…ああ素敵やわあ」

 桃華は梨緒の乳房の周囲を指で優しくなぞった。

「んはあっ」

 梨緒はそれだけで下半身がジンジン痺れ、膣が潤っていくのを感じた。桃華に

 触れられた個所が激しく反応し、梨緒はフカフカのカーペットの上を身を捩って

 もがき出した。

「んはぅっ もっ、桃華さ~ん…きゃはうっ!」

「梨緒ちゃん! 梨緒ちゃんもっと! もっとウチを感じとくれやす!」

 桃華は梨緒をガバッと抱き締め、そのピチピチの肌を舐め回した。

「桃華さ…はうああああ~っ!」

「ああああああ~っ!」

 2人は身体を仰け反らせて身悶えた。絶叫が部屋の中へこだまし、梨緒と桃華は

 汗だくの身体を重ねた。

「も…桃華…さん…」

「す…すご…かった…どすえ…」

 ギュッと抱き合い唇を重ねた2人は、やがて心地良い疲労とお互いが側にいると

 いう安堵感で眠りについた。

{ずっと…このまま…で…}  翌朝になり、雪が止んだ隙を突き、桃華と梨緒は山荘にあった毛布で

身体を包み、陽の光りがキラキラと輝く雪の中を歩いた。だが途中で

亜子と洋子に出会ったら無事では済まないだろう。そう思うと自然に

周囲の動きや音に注意を払う。

{諦めまへんえ。梨緒ちゃんはうちが守る}

{足が冷たくなって…ううん、弱音なんか吐くもんですか。桃華さんは

あたしが守る!}

 お互い無言だが思いは同じで互いを気遣っていた。 暫く歩いて下り坂となると、にわかに空模様が怪しくなってきた。

歩いて体温が上がりはしたものの、それ以上に外気が低い為に寒さを

凌げる事もなかった。

「少し休みましょう」

 桃華は雪に埋もれた別の山荘を見つけ、梨緒をそこへ導いた。

「…うわ」

 二人が中へ入った途端、一気に雪が降り始めた。風も重なり吹雪となった

外から逃れ、戸を閉めた二人は奥へと進んだ。 奥には比較的汚れていない部屋があった。畳敷きの和風の部屋で、

八畳程の広さだが家具はない。

 桃華は監禁されていた山荘から持ち出したカンテラを部屋の中央に置き、

梨尾と並んで座った。電池式のカンテラだけに温度は期待出来なかったが、

それでも灯りがあるという事は心理的にありがたかった。

「…駄目、まだ圏外だわ」

 取り返したミニノートPCを起動させ、事件の事を知らせようとしたが、

モニターに映るのは【圏外】の虚しい文字だった。

「相当に山奥に連れてこられたんどすなあ」

「ええ、データカードは出力を上げてるから中継基地から二十キロ以内なら

充分繋がる筈なんですけど…」

「つまりここはアンテナから二十キロ以上…」

 二十キロを、しかも雪道を歩く苦労は相当なものだと判ってはいたが、

天候の影響で遅々として下山出来ないのは精神的に辛い。洋子達の食料を

持てるだけ持ってきたが、外気が低ければカロリーの消費は激しく、

ヘタをすれば命に関わってしまう。

「きゃっ」

 色々とネガティブに考えてしまっていた梨緒を桃華が優しく抱き締めた。

「あきまへんえ。そないに暗い顔してたら気力も失のうてまいます」

「桃華さ…ン」

 振り返った梨緒の唇に、桃華はそっと口づけた。

「ン…あふ…」

 桃華は梨緒のブラウスの中に手を入れる。梨緒は冷たい桃華の手がブラの

上に置かれてピクンと身体を反応させる。

「んはうっ」

 桃華に首筋を舐められ、梨緒は昨夜愛し合った事を思い出して赤面した。

「んふ…梨緒ちゃんのお胸はやらこい{柔らかい}どすなあ」

 服の中でブラジャーを外され、直に揉まれた梨緒の乳房は背後から桃華に

 いいように愛撫されていた。

「ん…え? 梨緒ちゃ…きゃうっ」

 身体を反転させ、梨緒は桃華の胸をセーターの上から鷲掴みにした。

「梨緒ちゃ…んっ」

「桃華さんのおっぱいだって…ふっくらしたセーターに負けないくらいに

弾力があって…ほら、こんなにモチモチしてムニュムニュ…」

「ああんっ」

 責められるとは思っていなかったのだろう、桃華は梨緒の愛撫に虚を

突かれ、全身に電気が走ったかのような快感の衝撃を受けた。

{んっ、梨緒ちゃん…気持ち良すぎて…んっ}

 主導権を奪われた桃華は、梨緒にされるがまま優しく押し倒された。

桃華の漆黒の美しい髪が床に広がる。

「綺麗…」

「そ、そないに見つめんといて…きゃあっ」

 サッとセーターを捲り上げられ、ブラウスを露にされた桃華は、両手で

胸を持ち上げるように愛撫してくる梨緒の責めにうっとりとしていた。

「んっ…はむっ」

 ブラウスのボタンを外され、胸の谷間に顔を埋められた桃華は、利緒の

吐息が当たる度、膣が潤ってくるのを感じていた。

「梨緒ちゃん…」

「暖かいおっぱい…もっと捏ねてあげますね」

「そ…きゃうっ」

 もち米を捏ねるように乳房を揉まれ、桃華は次第に乳首がムクムクと起き

上がる感覚に溺れていった。

「はうう…」

 愛撫を始めて十分程で二人の身体から湯気が立ち始めていた。二人共既に

 靴下とショーツだけになり、裸体は汗で光っていた。身体はお互いに愛し

合う準備が整い、二人は口づけを交わしつつショーツを脱がし合っていた。

「あんっ!」

「きゃうっ!」

 お互いの秘部を重ねた途端、二人は仰け反って喘いだ。そしてそのまま

秘部をグニグニと擦り付け合い、更なる快感を求めた。

「梨…緒…ちゃ…あああああぁぁぁぁ~っ!!」

「桃…華さん…あひいいいぃぃぃぃ~っ!!」

 絶叫は重なり、そして二人は余韻の間中、貪るように口づけを交わした。

舌は絡み合い、そしてまだまだとばかりに乳首を重ねては擦り合った。

すると二人の股からまたツゥ~っと愛液が垂れて太股に流れ出した。  

  外は相変わらずの吹雪であり、日が暮れたらしく真っ暗になっていた。

 あれから二人はずっと愛し合い、精も根も尽き果てていたのだが、それでも

 お互いに見つめ合うと、まるで呪いに掛かったかのように再び愛し合うの

だった。

「ん…ふう…」

「はう…ンン…」

 床は二人の愛液でビチャビチャになり、まるで雨漏りでもしているかの

ように床に水溜りが出来ていた。

「…雪…」

「え…なんどす?」

「吹雪…やみません…ね…」

「…そうどすなあ…寒うないどすか?」

「ううん…桃華さん暖かいもの…」

「ふふ…」

 一枚の毛布の中で抱き合ったまま、いつしか二人は眠りについた。

  翌朝になり、乾いた下着と服を着ると二人は再び下山する為に雪の中を

 歩き出した。

{晴れている間に何とかアンテナのある中継基地まで…}

 そう願いながら歩いていた梨緒だったが、突如足元に棒が刺さった。

「え?」

「伏せて!」

 唖然としていた梨緒を庇うように桃華が雪の上に押し倒した。

「ボーガンどす!」

「え!?」

「伏せたまま移動しますえ」

「はい」

 匍匐前進をしつつ桃華は洋子達の襲撃に後悔した。

{迂闊やわ…天候が回復したのならあの女達にとっても都合が…あかへん}

 そう考えつつ動いていた桃華の太股に、ヒュンと風を切る音と共に激痛が

走った。

「桃華さん!」

「あきまへん! 頭上げたらあきまへんえ!」

「動くな!」

 桃華達の前後を挟むように洋子と亜子が立ちはだかった。

「探したわよ女刑事さん、小娘ちゃん」

「さあ、雪まみれで寒かったでしょう? 暖かいお部屋が待ってるわよ」

 ボーガンを構えた亜子は、縄の束を二人の前に垂らして見せた。「…」

 雪道でも走破出来る車両の中、縄で縛られた桃華と梨緒は後部座席に

座らされていた。桃華は下半身を脱がされ、ボーガンで受けた傷を手当て

された。

「まったく余計な手間を掛けさせてくれたわね」

 洋子は運転をしながらブツブツと不満を漏らした。

「流石は女刑事さんね。それに夜中に一人で学園に調べに来るだけあって

この娘も大したものよ」

「まあね。だけど今逃げられたりしたら折角の計画が台無しだわ」

「今度は大丈夫よ。ねえ」

 二人の前に座り、ボーガンを向けたままの亜子は不気味な笑みを浮かべた。

「…うちらをどうする気どす?」

「売るわ」

 キッパリと言ってのけた亜子は不敵な笑みを浮かべた。

「あんた達程の美女と美少女なら他の女達より高値が期待出来そうだわ」

「…やっぱり学園で誘拐した女の子達を船に乗せて売り捌いていたのね!」

「そうよ小娘ちゃん。あれだけ大きな女学園ですもの、大して他人と

関わらない上に美少女という娘なら少しは居るでしょう?」

「くっ…」

「ちなみに本物の洋子先生はとっくに売却済みよ」

「なっ!?」

 衝撃の告白に梨緒は絶句した。犯人の女教師が既に偽物とすり替わって

 いたとは、流石の梨緒にも調べ切れなかった。

「まあちょっと海上保安庁が煩いからね。あんた達はもう暫くは山荘暮らしを

してもらうわよ」

「くっ、こないな悪事は絶対…!」

「亜子、猿轡」

「あ! やめ…ムグゥ!」

 亜子にガーゼを口に押し込まれた桃華は、舌でガーゼを吐き出そうと

 したが、間髪入れずに口をガムテープで塞がれた。

「桃華さ…ンンッ!」

「あんたも黙るのよ」

 梨緒の口にもガーゼが詰められ、ガムテープの蓋がされた。

「ムググ~ッ」

「ン~ッ ン~ッ」

「はいおまけ」

 梨緒達を前屈みにさせると、手馴れたように手ぬぐいで鼻まで覆う猿轡を

 嵌めた。

「ムフグウウウ~ッ」

「これでよし…どう女刑事さん? 縛られて猿轡された感想は?」

「ウウウウ…」

 抵抗も反論もできない2人を見て、亜子達は意味深な笑みを浮かべた。

 連れ戻された桃華と梨緒は、別々の部屋に監禁されてしまった。桃華は

洋子、梨緒は亜子が付きっきりで見張ることにした。

 洋子と亜子に再び捕らわれた梨緒と桃華は、お互いの無事を祈りつつも、

 2人からに責めに耐えていた。

「ふふん、京女は色白だし肌もきめ細かくって羨ましいわ」

 亜子が桃華の胸を揉みしだく。梨緒に触られるのとは違い、嫌悪感だけが

残る。

「グウウムム~ッ!」

「煩い女刑事さんだこと…いい? 大人しくしないと小娘を殺すよ」

{梨緒ちゃんに手ェ出したらあんた達こそ殺しますえ!}

 桃華は精一杯亜子を睨みつけて抗うが、梨緒を人質にとられた状態である

以上下手な事も出来ない。 一方の梨緒も洋子の責めに苦しめられていた。

「さあ小娘ちゃん、ご自慢のPCがないと只の無力な子供だって事を教えて

 あげるよ」

 洋子の電気アンマ器の責めを受け、梨緒は猛烈な快楽に悶えた。

「ふふふ、小娘ちゃんが探偵の真似事なんてするからこういう目に遭うのよ」

{ああいやあ! 桃華さん助けてぇ!}

「ふふふ、今頃あの女刑事もアソコが嬉し涙を流してる頃よ」

 完全に勝ち誇った洋子は、梨緒の為の人質としてある桃華の名を出した事で

 更に梨緒を精神的に追い詰めるのだった。 「ウウ…」

 その夜、梨緒は亜子達が完全に寝入るのを待ってから床を這って移動した。

 そして自分のPCを起動させてみた。

{…やっぱりだわ!}

 梨緒はモニターの結果を見て安堵した。

{取り敢えず…}

 梨緒は後ろ手に亜子の防寒着から携帯電話を奪った。携帯電話を起動させ、

 後ろ手に自分のPCの側に置くと、メールソフトを開いた。

{お願い! 上手くいってよ!}

 梨緒は祈りながらキーボードを叩くのだった。

 「さあ、今日も拷問してあげるよ」

 亜子達がマッサージ器を手に梨緒に迫った。

 その時、窓ガラスが割られて黒ずくめの集団が飛び込んできた。

 集団は亜子達を手早く取り押さえ、梨緒を助け上げた。

「梨緒ちゃん!」

 先に助け出されていたらしい桃華が駆け寄る。2人は抱き合って喜んだ。

「お手柄どすえ梨緒ちゃん」

「女達の携帯を中継機にしてみたら上手くいきましたね…良かった」

 直ぐに梨緒達は病院へと搬送されて手当てを受けた。

 洋子と亜子は逮捕され、証拠品からPCが押収された。ロックが掛かって

 いたものの、梨緒の手に掛かれば簡単なことだった。

 結果、港に停泊していた船から行方不明の少女達が全員救助され、事件は

 一気に解決した。

 

 「おかえりなさ~い」

 梨緒と桃華はマスコミ対策にと一時期セ-フハウス住まいとなっていた。

 無論この2人が後で正式に同居するようになり、桃華の事件を梨緒がPCで

 解決の手伝いをし、ずっと暮らしてゆくのだった。         〈完〉


告白体験談関連タグ

||||||||||||||

【友達】PC探偵・神崎梨緒【告白体験談】 を見た人はこんな体験談も読んでいます


秘密のエッチ告白体験談 前後のページナビ!

2014年5月19日 | 告白体験談カテゴリー:友達との告白体験談

このページの先頭へ